第1回「オンライン戯曲読み合わせ」
早いもので、5月も後半に差し掛かっていますね。緊急事態宣言も解除されましたが、皆さまどのようにお過ごしでしょうか?
のらくら主宰の谷口です。
今回の第1回「オンライン戯曲読み合わせ」は、
新型コロナウイルスによる劇場閉鎖に伴いZoom演劇について考えてみよう!
ということで、不詳谷口と、劇団オトズレ主宰の坂本樹くんから
「今だから見たい1本」というテーマで1本ずつ短編戯曲を提案。
お集まりいただいた12名の参加メンバーの方々とその2本を読み合わせ、「今、見たいもの」についてディスカッションを行いました。
【プログラム】
第1部 自己紹介
第2部 坂本樹 戯曲提案
第3部 谷口由佳 戯曲提案
◉読み合わせ▶︎ディスカッション
参加者 12名
進行 谷口、坂本
書記 阿部えれに(オトズレ)
【第1部】自己紹介
今回定員5〜10名を想定していましたが、
予想を上回る応募をいただき、先着順で12名の方々にご参加いただきました。
(今回ご参加いただけなかった方も、ぜひ第2回にご参加くださいませ…!)
メンバーは関東圏内で演劇をする方々のほかに、なんと九州からご応募いただいた方も。
もう少し関東以外の劇場の状況など、掘り下げられればよかったですね…く…!(後悔)
皆さんZoomははじめての方が多いようでしたが、終始和やかに、リラックスしてご参加いただいていたようでした✨
【第2部】オトズレ
進行:谷口、阿部
◉坂本樹作「獏」(上演時間 約20分)
【あらすじ】
ここ3年間の記憶を失ってしまった大学4年生の女・ハルコは入院中、「獏」と名乗る青年に出会う。
夜の踊り場の約束。ハルコの「夢」を巡る話。
Zoom演劇は、
“舞台空間で行われる演劇とは別腹で”
今後も発展していくだろう。
坂本くんと話す中で、今回は
「なら、その“別腹”で、私たちは何を 見たいんだろう?」
を皆さんと一緒に考える回にしようと思い立ちました。
◉最初に、いくつか軽く質問をしてみました!
Q1:
戯曲を家で読むとき(声を出してもいい状況で)どうやって読みますか。黙読?音読?
→結果は、本当に人それぞれ。
意外と黙読が多数。中には、セリフは黙読
し、ト書きを音読する人も。場所、時を意
識したいんだとか。いきなり役を主観で読
むのではなく、演出の視点も持って読む、
という方も。
Q2:
家族がいる状況で、声に出して読むことって抵抗ありますか?機会は減りましたか?また、そういうときはどうしていますか?
→やはり、減った人もいました。
家族LINEで何時から何時まではこれやります!と共有するのが有効という話に。リモートワークが進む昨今、家族同士で今は◯◯の時間、と把握し合うと家の中で台詞を声に出しやすくなるかもしれないですね。
役者さんにとって、台詞はもちろんのこと、
場所・時間などの要素が、
戯曲を楽しむ上で重要な情報なのですね。
◉戯曲「獏」 読み合わせ
▶︎上演を前提にしないト書き・長めのモノローグを配置。文字からある程度イメージがしやすくなることを念頭に置いて書いた。
坂本:
僕は実際の上演をするとき、脚本の情報が観客に伝わる順番は【文字→声→身体、空間 】の順だと思っています。今回は文字情報から立ち上げた声以降を聞き手が想像できるように書いてみました 。
谷口:
つまり、文字=戯曲、声=役者の声、空間=劇場ってことですね。
坂本:
そう。普段、戯曲や小説(などの、文字から物語を立ち上げるもの)を読むとき、皆さんはどういうところに想像力を働かせていますか?
谷口:
何を一番意識していますか?
Aさん:
ト書きだけは声に出して読みます。ト書きと、セリフをどちらも目で読んじゃうとごっちゃになってしまうので、まず「この場所ってどこなの?」「登場人物は?」などの前情報を、 大事にしています。作家が書いている情報は法律のようなものなので... 。
谷口:
台本の柱の部分ですね。上演を前提としていないものでも?
Aさん:
はい。起承転結があるから、人物のことをしっかり知っていないと、あまり心が動か
なくなってしまうので。
Bさん:
そのシーンを切り取った、一枚の絵を想像します。登場人物の立ち位置など細かいものを絵として見てみる。 作家はこう言っているけど、まず好きに考えよう、という風にやってみてから、じゃあなんでこう決めているのか?と逆説的に考えたりしますね。
【第3部】ノラクラフト
進行:坂本・阿部
◉谷口由佳・作
「還っていく人の耳で聴く、とある一夜」
(上演時間 約5分)
【あらすじ】
真っ暗な夜。仲間たちの声が響く、夜。
夏が近づくと、夜の匂いがとろりと甘くなる。
身分違いのふたり。
草葉の陰から、
「わたし」はふたりの声を聴く。
▶︎Zoom演劇を見ていて、「生活と切り離せていなくて、面白いはずなのになんだか集中できない…」という思いから発案。
【部屋の中で作る暗転】
【観る人の感覚に訴えるコンテンツ】
を強く意識して書きました。
◉立体音響マイクを舞台の中心に起き、上演の音を音源に収める。観客=聞き手は、部屋を暗くして目をつぶり【暗転】を作り出し、イヤホンをつけて作品を“想像の目で”観る。
というもの。
①上演の立体音源
②メイキングとして、上演映像を提供
観客は、舞台の中心に座って役者が近づいてくるのに【体を硬らせ】、また遠くの微かな音に意識を向け、耳を澄まします。
谷口:
いわゆる「囲み舞台」は、「舞台」が「観客」に囲まれている。今回は、 「観客」が「舞台」に囲まれる、「囲まれ舞台」やってみたいと思いました。 今流行りのASMRは、ハサミの音など単体の音を収録、というのが多いけど、生活音を収録したりしているものもあります。聞いてみると、音が近くを通ると、人の気配も感じるんですよね。体がヒュッ…!ってなる。
今流行りのASMR。もしまだご存知ない方は、
イヤホンをして体験してみてください!↓
【検証①】会話調の小さい芝居で読む
【検証②】大きな小屋を意識し大きな芝居で
谷口:
わたしはこの期間を通して、改めて演劇の完全体は、劇場あってのものだと思いました。自分のタスクや生活、娯楽と切り離して劇作品と向き合っていないから、受け取れる情報が減ってしまっていると感じますね。 そのため、部屋でしっかり受け取れる演劇はどんなものか、考えてみました。どちらも試してみて、どうかな?
Cさん:
ドラマ CD をよく聞いてましたが、それには効果音が入っていることが多いんです。ナレ ーションは、よくモノローグになっていますね。でも、目をつむって見てみると、外の音(雷やお皿)に気が散りやすいかも。
(この日、雷がバリバリなってたんですね…⚡️⚡️確かに、観る環境を整えるか否かで、作品を楽しめるか全然違います。)
Dさん:
大声を近くで聴くことはあまり日常的にないので、1回目の方が心地よいと感じましたね。
Eさん:
ボイスドラマよりも受け手が部屋を暗くしたり、情景を思い浮かべなければいけなかったりするため、聞いている側の作業が多いですよね。演じる側か、受けとる側のどちらが劇の内容を受け取りやすくする環境を整えるべきなのかなぁと思いました。
Fさん:
良い意味でも悪い意味でも、わざわざ感があるよね。劇場に行くということは、わざわざ足を運ぶ、ということなので、今回の企画もそう いう部分があった?
谷口:人は、劇を見るために対価(お金や時間)を払うので、それも意識して企画してみました。
〜
全てはご紹介できないですが、
段階を経て環境を変え、何回か試し読みする中で面白い意見が多数。ありがとうございました!!
ノラクラフト は、1年かけてこのコンテンツを発表に向けて試行錯誤していきたいと思っております。もしお目に止まりましたら、どうかよろしくお願いします!
いかがだったでしょうか。
このように、楽しくもそこそこ真剣に、定期的にワークショップをおこなっていきます。
もしよろしければ、第2回にもご期待ください!
第2回「オンライン戯曲読み合わせ 〜春のモノローグ祭り〜」
モノローグについて、じっくり考えます。
お申し込みはこちら!
▶︎https://docs.google.com/forms/d/12cNYg0iZTHz_PSGY12aQKbV2hyxM_yMpM0Q2H4pPqbc/edit
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